電力不要の『省エネ調光ガラス』実現へ

電力不要の『省エネ調光ガラス』実現へ
産業技術総合研究所は、大阪有機化学工業と共同で、
液晶と高分子の複合材料を開発しました。

温度変化によって太陽光などの透過量を自動制御できる
調光ガラスなどの製造が可能な材料で、電力を用いずに利用できる
省エネな調光窓ガラスの実現などに寄与できるとしています。

今回、研究グループは、高分子ネットワーク液晶(PNLC)と
呼ばれる液晶と高分子からなる複合材料を、
2枚のガラス基板ではさんだ構造の調光ガラスを開発。

この調光ガラスは、液晶、モノマー(高分子の原料)、
重合開始剤の混合原料を2枚のガラス基板の間に満たし、
紫外光を照射して重合させています。

PNLCの調光原理
▲PNLCの調光原理。
 温度変化により低温では透明状態、高温では白濁状態に切り替わります。


PNLCを調光させた際の窓外景色の様子
▲PNLCを調光させた際の窓外景色の様子。
 低温での透明状態(左)と、高温での白濁状態(右)。


今回開発されたPNLCは、高分子の網目の中に液晶が満たされている構造で、
温度によって透明になったり白濁になったりする特性を持ち、
同時に全透過率が大きく変化します。

低温では、液晶分子が配向し、液晶相と高分子相の屈折率が一致し、
PNLCは光学的に均一となるため、透明になります。

一方、高温になると液晶分子の配向が乱れて屈折率が変化し、
光学的に不均一になるため、光散乱が生じて白濁します。

この時、光の散乱方向を入射側に向けることができれば、
その分だけ全透過率を下げることが可能になります。

研究グループでは、光重合で形成されるPNLCの微細な構造を調査し、
白濁状態では後方散乱が生じて、透明と白濁の切り替えによって、
全透過率が大きく変化するPNLCの構造を発見しました。

今回開発したPNLCは20%以上の変化幅を示したといいます。

この変化幅は、既に実用化されている
液晶系の調光ガラスと同等レベルとしています。

透明状態での直進透過率は、従来からある熱応答型の
液晶複合材料並みの70%を上回る値を達成しました。

太陽光を受けた際の窓ガラスの昇温速度に十分追従して変化が可能で、
例えば、今回のガラス基板で挟んだ材料の温度を30℃から50℃に上げると、
直進透過率は30秒以内に80%以上から10%以下に下がったといいます。

従来の液晶を用いた調光ガラスは、
白濁現象を利用したプライバシーガラスとしての用途が主でしたが、
今回開発された全透過光量も制御可能な熱応答型のPNLCは、
暖冷房負荷低減に有効な生活温度(今回の試料では35℃)付近で
調光が可能であるため、窓に組み込めば、省エネの窓ガラスとして期待できます。

また、作製工程や動作原理が単純であるため、
製造・施工・運用の面でもメリットがあるとしています。

さらに、固相の薄膜として扱うことができるため、
既築の建物などに後付けで施工できるプラスチックフィルム基板への
展開も可能で、調光フィルムへの応用など、一層の普及が期待されています。

研究グループは今後、実用化に向けて
全透過率の変化幅の拡大と耐久性の向上に取り組む計画です。

今回実現したガラス基板を用いた調光ガラスは、
新築建物などの窓ガラス施工が想定されますが、
今後は窓ガラスへの後貼り施工ができるプラスチックフィルム基板を
用いた調光フィルムの作製技術開発に取り組むとしています。


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参考文献;
スマート・ジャパン(2019/10/2)
「電力不要の『省エネ調光ガラス』実現へ、
 温度差で太陽光の透過量が変わる新材料」
https://bit.ly/32zsQvA

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
https://www.aist.go.jp/
大阪有機化学工業株式会社
https://www.ooc.co.jp/

Wikipedia
産業技術総合研究所
https://bit.ly/2NZiJuD
大阪有機化学工業
https://bit.ly/2X4Q7EA