薪ストーブ(歴史・機能・問題点)

薪ストーブ(歴史・機能・問題点)
薪ストーブ(まきストーブ)は、薪を燃料とする暖房器具です。

主に輻射式、対流式の二つの暖房方式があり、ほとんどの製品はその両方の機能を併せ持っています。

材質は鋳鉄製(ちゅうてつせい)と鋼板製(こうはんせい)が多いです。

燃料の薪は石油、石炭のように枯渇してしまう地下資源ではないこと、燃焼時に放出される二酸化炭素は木の成長によって回収されるため、カーボンニュートラル(炭素中立)な暖房であるという利点があります。

現代の薪ストーブ(レージェンシー製)
▲現代の薪ストーブ(レージェンシー製)

防寒や調理の目的で火は古来より人の生活に必須の存在でした。

焚火(たきび)が発達し、屋内でも火が焚けるようにしたものが囲炉裏でしたが、煙の出口がなかったため、後にフードと煙突の付いた囲炉裏が考案され、それを元に囲炉裏を壁の中に埋め込むことで暖炉が発明されました。

アメリカでは移民がヨーロッパ(とくにイギリス風)の暖炉を持ち込み、家庭で使っていたが従来の暖炉は暖房効率が低く燃料を大量に消費しました。

1742年、政治家、発明家として知られるベンジャミン・フランクリンが暖炉の暖房効率を改善するため前面以外の5面を鉄板で囲ったフランクリン・ストーブ(ペンシルバニア暖炉)を発明。

バッフル板が装着されたこのストーブは暖房効率が高く好評で、多くのメーカーから同様の暖炉が販売され主流となりました。

後にフランクリンストーブは改良により現在の薪ストーブのように扉が付けられ、それが現在の薪ストーブの始まりです。

アメリカではその後、一旦は石炭・石油の発達により、薪ストーブの人気は下降しましたが、石油危機をきっかけに復活、その後、環境に関する法制定により、二重燃焼システムや触媒など燃焼効率を高めた機種が開発されました。

その他、紀元前の中国では煙突付きの青銅製のストーブがすでに存在していた事が知られています。

19世紀の多機能付き薪ストーブ
▲19世紀の多機能付き薪ストーブ

扉の付いた鉄の箱に煙突が取り付けられた構造が薪ストーブの基本的な形態です。

暖炉・焚火は、空気の出入りが開放的で、燃焼に必要な空気の数十倍の量の空気を吸い込み排気するのに対し、薪ストーブは密閉的で、小さな空気の入り口を調整し燃焼に必要な空気を取り入れ、煙突からの排出も調整されます。

そのため取り入れられる空気は燃焼に必要な量の2~3倍に制限されます。

暖炉・焚火が、ほぼ火そのものの輻射熱しか感じさせないのに対し、薪ストーブでは本体内の燃焼によって生じる熱を本体表面からの輻射熱や、本体周囲を対流する暖かい空気によっても部屋を暖めることができます。

薪ストーブには燃焼調整のために空気弁、煙突ダンパーといった機能が付与され、近年では燃焼効率や趣味性を上げたり、燃焼ガスの環境規制を通過するために、ガラス扉、二次燃焼、触媒、バッフル板などの機能が付与されるようになりました。

薪ストーブの燃料として用いられる薪は、精製されていない燃料であるため不完全燃焼となり、煤、PM2.5などの粒子状物質、悪臭を発生させます。

日本の環境省のガイドブックによると、一般的な薪ストーブのそれらの放出量は、精製された石油燃料を使う石油暖房機器と比べ、350倍近く多いそうです。

住宅地などにおいてはそれらが周囲に充満することとなり、健康被害を招く恐れがあります。

フランスでは暖炉などの類似の暖房器具は大気汚染を理由に使用が禁止されています。


「電気式薪ストーブ」は、本物のようにゆらぐ炎の演出で、暖房機能を越えた高いインテリア性が好評です。
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電気式暖炉
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参考文献;
AFP BB News(2014/12/8)
「大気汚染対策で暖炉が使用禁止に、仏パリ首都圏」
https://bit.ly/39IGIL4

Wikipedia;
薪ストーブ
https://bit.ly/3lGUekP
暖炉(だんろ)
https://bit.ly/3bpWuJg
囲炉裏(いろり)
https://bit.ly/3qrOZsO
鋳鉄(ちゅうてつ)
https://bit.ly/3g8cXo9
鋼板(こうはん)
https://bit.ly/3lBN8hv
ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)
https://bit.ly/37wYLBj
煤(すす)
https://bit.ly/3mHkNro