「プラグドア」「フラット扉」

「プラグドア」「フラット扉」


ドアの形式に「プラグドア」というものがあります。

プラグ(Plug)とは「栓、フタ」という意味で、締め切った状態で周囲の壁が面一(フラット)になるドアのことをいいます。

一般的には鉄道車両やバス車両で用いられていますが、近年は建築用途のものも登場しています。

鉄道車両の側扉(JR東海371系電車)
▲鉄道車両の側扉(JR東海371系電車)

バスのプラグドア
▲バスのプラグドア

■構造
戸袋が無くボディー外側を移動して最後に内側に沈み込む「外プラグ式」と、(船体や機体を含む)ボディー内を移動して最後に外側に押し出される「内プラグ式」があります。

それぞれの方式でリンク機構でドアがスウィングするものと、レールやガイドに沿ってスライドするものがあります。

多くの新幹線電車のように、内プラグ、かつスライド式のものは戸袋を持っていますが、構造材(柱)との干渉、見栄え、有効床面積などに問題が無ければ、戸袋は不要になります。


■利点
・ボディー外壁と面一になるため美観にすぐれ、空気抵抗と風切り音などの騒音低減や、着雪防止に効果があります。

・外吊り式の場合は開扉時にドアが車体外側に逃げるため戸袋が不要となり、(特にステップ付き構造で)補強を省いて軽量化でき、閉扉時の車体外寸に比して車内空間や他機器のためのスペースをやや広く取れます。

路面電車の場合、特に最近製造されている超低床電車では戸袋を設けると台車などに干渉したり、構造上の弱点となるため、ヨーロッパのライトレールを中心に主流となっています。


■欠点
・作動時必ず移動してから押し出す(又は引き込む)2段動作となるため、構造が複雑で、破損や動作不良などのリスクが高くなります。

・一般的な引き戸と比べて構成部品が多いため製造および維持コストが高くなります。

実際、土讃線 讃岐財田駅 - 坪尻駅間でボルトが緩んだプラグドアが時速120キロの風圧で外へ開き、トンネル壁面にドアが当たり、戸が約80度回転する事故がありました。

そのため、試作車では採用されても量産車では採用されない例や、初期形で採用されても増備時に通常の引き戸に戻された例もあります。

デッキが無く、乗車率が高くなる(乗客が強い力で扉を外へ押し付ける)日本の通勤電車でも採用されていません。


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参考文献;
プラグドア(Wikipedia)
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