鏡と人間、動物の認識

鏡と人間、動物の認識
鏡(かがみ)の起源は水鏡(水面)に遡れば、人類と同じくらい古いと言えます。

鏡に映る姿が自己であることを知るのは、自己認識の第一歩であるとされます。

鏡によって、初めて人は自分自身を客観的に見る手段を得ました。

鏡に映った自分を自分と認識できる能力を「自己鏡映像認知能力」と呼びます。

自己鏡映像認知能力の有無は動物の知能を測るための目安となります。

チンパンジーなどは、鏡に映る姿を自分自身として認識し、毛繕いのときに役立てるといいます。

このように鏡を利用するまで至りませんが、自己鏡映像認知能力がある動物として類人猿のほか、イルカ、ゾウ、カササギ、ヨウム、ブタ等が挙げられます。

鏡を興味深く見つめる子供
▲鏡を興味深く見つめる子供(ヒトは鏡に映った自分を認識できます。)

鏡を覗き込むヒヒ
▲鏡を覗き込むヒヒ

カササギは鳥類で唯一ミラーテストを成功している動物です。

研究者は、5羽のカササギのノド(鏡を使わないと見えない場所)に赤、黄、黒の小さなステッカーを貼り、鏡を与えました。

ノドにステッカーが貼られてもカササギは気にしないようでしたが、色付きのステッカーを貼られたカササギが、鏡の中の自分の姿を一目見ると、ノドを掻くという行動をとりました。

これは、カササギが、鏡の中の像を自分自身であると認知していることを明瞭に示しています。

黒のステッカー(首には黒い羽毛が生えているので視認できない)を貼られたカササギは鏡に反応しませんでした。
カササギ
▲カササギ

▼ミラーテストにおけるカササギの反応の映像。
(何度もマークを除去しようとする行動が見られます。)


鏡に映像が「映る」という現象は、古来極めて神秘的なものとして捉えられました。

そのため、単なる化粧用具より先に、祭祀(さいし)の道具としての性格を帯びていました。

鏡の面が、単に光線を反射する平面ではなく、世界の「こちら側」と「あちら側」を分けるレンズのようなものと捉えられ、鏡の向こうに
もう一つの世界がある、という観念は通文化的に存在し、世界各地で見られます。

水鏡、黒曜石の石板鏡、金属鏡のみがあった時代、古代の哲学などでは、鏡像はおぼろげなイメージに過ぎないとされました。

一方、近代になり、ガラス鏡が発達すると、鏡を意味する「シュピーゲル」(ドイツ語)や「ミラー」(英語)という名を冠する新聞が登場するようになります。

これは、「鏡のようにはっきりと世相を映し出す」べく付けられた名称です。

鏡は鑑とも書き、人間としての模範・規範を意味します。
(例:『史記』には「人を鑑とする者は己の吉凶を知る
(人を手本とする者は自分の将来も知る)」と記されています。)

手本とじっくり照らし合わせることを「**に鑑みる(**にかんがみる)」は、ここから来ています。

▼弊社の「オーダーミラー」はお好みのサイズ、カラー、デザイン等をご相談いただけます。
「オーダーミラー」

「詳細ページはこちら」


参考文献;
鏡と人間、動物の認識
https://bit.ly/2UYJX8F
ミラーテスト
https://bit.ly/3602pEj
カササギ(鵲)
https://bit.ly/2J4fV0C
ヨウム(洋鵡)
https://bit.ly/3fuUNfX
史記
https://bit.ly/3l24KCE