唐草文様(模様)の由来

唐草文様(模様)の由来
「唐草文様」(からくさもんよう)、「唐草文」(からくさもん)は、葉や茎、または蔓植物が伸びたり絡んだりした形を図案化した植物文様の、日本での呼称です。(唐草という植物はありません。)

「カンタロス」
▲ギリシアの壺絵。唐草文の二把手陶器「カンタロス」 東イオニア。
紀元前540年頃(バイエルン州立古代美術博物館所蔵)

唐草模様は、複数の曲線や渦巻き模様を組み合わせることで、つるが絡み合う様子を表します。

写実的な物も見られますが、図形的に描いたものでは、左右対称の渦巻き模様などに簡略されたり、多種多様の唐草模様が存在します。

古代ギリシアの神殿などの遺跡でアカイア式円柱などに見られる草の文様が唐草文様の原型で、メソポタミアやエジプトから各地に伝播したと考えられています。

また、古代エジプトの睡蓮にも起源があるとされ、イスラム美術の一様式におけるアラベスク文様にも影響を与えています。

イスラムでは食器、陶板などの表面デザインに描かれたり、建築美術でも礼拝堂の天井、壁面の装飾によく用いられます。

アラベスクは、狭義では唐草文系の意匠を意味しますが、広義では、文字系や幾何学系も含みます。

日本には、中国シルクロード経由で伝わったとされています。

モチーフになった植物としては、スイカズラ(忍冬〔にんどう〕)をかたどった忍冬唐草(にんどうからくさ)や、ブドウを主題とした葡萄唐草、またパルメット意匠を用いた物があります。

唐・朝鮮から日本へ伝来した仏教美術、透かし彫りなどに見られるのが、ハス、ボタン、宝相華(ほうそうげ[想像上の花])を唐草と合わせた、蓮華唐草、牡丹唐草、宝相華唐草です。

ツタをかたどるものは、蔦花文様(ちょうかもんよう)、蔦蔓文様(つたかずらもんよう)などとも呼ばれます。

葡萄唐草文(三尖端の葉)
▲ザイン・アッディーンの銘入りの香炉。15世紀。
 銀象嵌(ぎんぞうがん)の部分に葡萄唐草文(三尖端の葉)が
 使われています。(ウォルターズ美術館所蔵)

日本では、奈良時代に渡来した様式から、次第に和様式となった物が好まれるようになり、有職文様に用いられました。

中世を境に、キリ、フジ、松竹梅など身近な種類の植物に変化し、染織、織物、蒔絵などに用いられました。

名物裂(めいぶつぎれ)にも、金蘭唐草文などの例が認められます。

21世紀初頭から現在、一般に「唐草模様」として認識されることが多いのは、緑地に白の唐草模様がある風呂敷で、獅子舞のかぶり物としてお馴染みであり、漫画やコントの中では泥棒の小道具としての印象もあります。

図案化が進み、葉に当たる部分などは簡略化され、ほとんど原形を留めていません。

日本の唐草模様にはこれら曲線模様の物か、花文中心の物が多く、蔓草の生命力を発展に結び付けて一種の吉祥文様として日用品などに使用されることが多いです。

唐草模様の風呂敷
▲唐草模様の風呂敷

唐草模様の風呂敷 使用例
▲使用例


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正倉院葡萄唐草
正倉院葡萄唐草[絹ガラス]

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市松に大唐草
市松に大唐草[絹ガラス]

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▼絹ガラス一覧
https://bit.ly/3h1AcPy


参考文献
唐草模様(からくさもんよう)
https://bit.ly/2GuY41k
Kantharos(カンタロス)
https://bit.ly/335c2yz
アラベスク(arabesque)
https://bit.ly/2ZclfnS
スイカズラ(吸い葛)
https://bit.ly/3lWKLqM
ウォルターズ美術館
https://bit.ly/2F5P56y
象嵌(ぞうがん)
https://bit.ly/2QZwcVa