「強化ガラス」の意外な落とし穴…東急田園都市線でドアのガラスが破損

「強化ガラス」の意外な落とし穴…東急田園都市線でドアのガラスが破損
昨年の12月、東京・渋谷駅に停車中だった
東急田園都市線の満員電車の窓ガラスが突如破損するという事故が発生しました。

夕方から帰宅ラッシュのピークを迎える田園都市線。

この事故により、神奈川方面行の電車が回送になり、
帰宅ラッシュ時の渋谷駅はまさに大混雑のパニック状態となりました。

↓ガラスにクモの巣状にヒビが入り、中央には割れた穴。
ガラスにクモの巣状にヒビが入り、中央には割れた穴

<東急電鉄はガラスの厚さを強化し、当該車両も交換済み>

ガラスが割れた時の電車の混雑率は約180%。
これは「新聞は折りたたむなど無理すれば読める」という混み具合だといいます。

鉄道のドアガラスは普通の窓ガラスよりも強くできているので、
通常であれば割れることはありません。

鉄道各社への取材でも
「混雑でドアガラスが割れたケースはない」という回答がほとんどでした。

しかし、田園都市線では、2016年9月のラッシュ時に、
高校生が窓に頭をぶつけてガラスが割れるという事故が発生しています。

その際にケガを負ったことから、東急電鉄では
ガラスの厚さを3ミリから4ミリに強化し、
今回、ガラスが割れた車両も交換済みでした。

<乗客のドアを係員が押し込んでいた時にガラスが破損>

今回ガラスが割れたのは、乗客のバッグがドアに挟まり、
それを駅の係員が押し込んでいた時です。
今回ガラスが割れたのは、乗客のバッグがドアに挟まり、それを駅の係員が押し込んでいた時のイメージ
(↑取材に基づくイメージ)

この時、係員は窓に触れておらず、
割れた破片がホーム側に多く散乱していたことから、
内側から何らかの要因で割れたものとみられています。

<「点」の力に弱い!?「強化ガラス」の思わぬ落とし穴>

では、なぜ窓ガラスは割れたのでしょうか?

鉄道会社に窓ガラスを提供しているガラス会社に聞くと、
鉄道の窓ガラスは一般的な窓ガラスの3倍以上の強度が求められ、
もし割れた時も乗客がケガをしないように飛び散りにくく作る必要が
あるといいます。

果たして、「強化ガラス」の強度はどれほどのものなのでしょうか。

株式会社コダマガラス様による
「強化ガラス」の強さを調べた実験があります。

バスケットボールを投げると「強化ガラス」から跳ね返り、
石を投げても石の方が欠けるほど、簡単に割れるようには見えません。

ところが、思わぬところに落とし穴がありました。

普通のハンマーで叩いても割れることはないですが、
先端の尖ったハンマーで叩くと意外にも簡単に割れてしまいました。

「強化ガラス」は「面で受ける圧力に強い一方で、
点にかかる圧力には弱いという特徴がある」ということです。

株式会社コダマガラスの児玉雄司代表は

「『強化ガラス』の場合は、厚み6分の1以上の傷や欠けが生じると全損します。
特に先端がとがった硬いものがぶつかったりして、割れることが、
もしかしたらあるかもしれません」と話しています。

普通のガラスに比べ、3~5倍の強度を持つ「強化ガラス」ですが、
弱点をしっかり認識して、上手く付き合っていくことが大切です。

「強化ガラス」に関して、
ご不明点などございましたら、お気軽にご相談ください。
https://bit.ly/2CPpqvw

参考文献;
FNN Prime
(「めざましテレビ」12月12日放送)
https://www.fnn.jp/posts/00399550HDK

株式会社コダマガラス
https://kodama-glass.co.jp/

強化ガラス(Wikipedia)
https://bit.ly/2zctkMl